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「ノルマンディーで一番美しい」港町
オンフルールは、英仏海峡に注ぎ込むセーヌ川左岸河口に位置する港町です。
海に面したノルマンディー地方では、複数の港町が存在するのですが、オンフルールはその中でも最も美しい港町と言われており、一見の価値があります。
旧港では、毎日漁に出る漁船から新鮮な魚介類が水揚げされ、漁業の町として活気にあふれています。
同時に、船大工によって建築されたことで、世界の中でも珍しい木造の建築物となった「サン・カトリーヌ教会」があり、旧港を囲むようにして構成された街は、昔ながらの石畳作りで情緒を味わうことができます。
こんなオンフルールののんびりした空気は、著名な芸術家も生んでいます。
19世紀に活躍した作曲家、エリック・サティや、クロード・モネの師と言われ印象派の先駆けであるウジェーヌ・ブーダンが生誕した地としても有名で、彼らの功績が残された記念館では、彼らの生育や作品を鑑賞することができます。
世界的に珍しい!木造建築の教会
サント・カトリーヌ教会の歴史
オンフルールにある教会、サント・カトリーヌ教会は、世界的にも珍しい木造建築なのが大きな特徴です。
石造りが主流のヨーロッパの教会の中で、なぜここは木造なのでしょう?
実は、サント・カトリーヌ教会は新しく立て直されたもので、以前の教会は石造りだったそうなのです。
14世紀から15世紀にかけ、イングランドとの間で繰り広げられた百年戦争において、以前の石造りの教会は破壊され、戦争後に再建されたのです。
でも、なぜ従来の石造りの教会ではなく、木造の建築物になったのか、それは、当時の財政的な問題に加えて、ノルマンディー地方では木造の建築物が多かったことも理由として挙げられています。
ノルマンディー地方には森が多く、木材の調達は比較的スムーズだった子っと、石造りの建築物は、城や貴族の館など、高貴な存在のための建築物だったことから、世界的にも珍しい木造の教会が誕生したのです。
さらに、サント・カトリーヌ教会は、船大工によって建築されたものなのです。
その理由としては、オンフルールが海洋の要所である立地から、造船業が盛んであり、木材を用いた建造に一日の長がある船大工が教会の建立に抜擢されたのです。
歴史をたどると、一つ一つの出来事に背景があって面白いですね。
教会を訪ねよう
教会の外見は、全体的に「黒い」という印象。
当時の主流な建築様式であるゴシック様式で建築されたこの教会は、規模は違いますがドイツのケルン大聖堂のように漆黒の外観が権威を表していると感じます。
それでは、教会の中に入ってみましょう。
中に入ってさっそく目に入るのが、美しいステンドグラス。
天気のいい日中なら、太陽の光に照らされて七色に輝く様子を楽しむことができます。
さらには、高く伸びた天井も、ドーム状なのがとても印象的です。
これはまさに船体をひっくり返したような形。
船の建造を得意とした船大工が建立した教会と聞いて、「なるほど!」と納得できる形状ですよね。
木造の鐘楼に感動!
教会の外には、別に建てられた鐘楼が見えます。
ベルギーでは、このような高い鐘楼の階段を上って、展望台から街を見渡すことができるのですが、さすがにサント・カトリーヌ教会の鐘楼は木造のためか、中に入ることはできませんでした。
かつては、鐘楼の柱の下に鐘つき夫が住んでいたそうで、その当時を思い起こすと、街の時間の流れをこの鐘楼から知らされていたのかと思うと、感慨深いものがあります。
サント・カトリーヌ教会のアクセス
(住所)Place Sainte-Catherine, 14600 Honfleur, France
旧港から旧市街へ入ってすぐの広場に面しているため、港からも漆黒の建造物を見ることができます。
オンフルールが生んだ印象派 ウジェーヌ・ブーダン美術館
Eugène Boudin(ウジェーヌ・ブーダン:1824~1898)は、オンフルール生まれのフランス人画家です。
ブーダンは、印象派の先駆者であり、クロードモネの師としても知られています。
オンフルールの歴史とノルマンディー地方の豊かな自然について絵画を通して知るためにも、ブーダン美術館を訪問しましょう。
ブーダン美術館には、印象派の画家の作品で構成されたノーマン民族誌の豊富なコレクションが展示されています。
オンフルールの港を描いた「Le Port de Honfleur」
少女を描いた「Portrait de fillette」
作品を見て歩いていると、その地に行ったわけではないのに、まるで自分の目の前の風景を眺めているような錯覚に陥ります。
美術館の出口付近では、ノルマンディー地方で盛んな塩の貯蔵庫を常設博物館として見物することができます。
あなたは、ここで製塩の歴史や製塩過程について学ぶことができます。
(住所)Rue de l’Homme de Bois, 14600 Honfleur, France
オンフルールでこれを食べよう!
オンフルールは港町。
ということは、やっぱりシーフードです。
その中でも、ノルマンディー地方に来たならぜひ食べてほしいのが「Moule frite(ムール貝の白ワイン蒸しとフライドポテト)」です。
ムール貝は、日本名で「ムラサキイガイ」とも呼ばれ、真っ黒な外見が特徴です。
これを玉ねぎやセロリとともに大量に白ワイン蒸しして大きなお鍋で出す「漁師飯」的な豪快料理です。
これを、フランス料理では珍しく手で豪快に食していく料理なので、好みは分かれるかもしれませんが、食べてみればわかります。
「おいしいです!」
そんなムール貝を、オンフルール旧港に面したおしゃれなブラッスリー、「LE CAFE DE PARIS」でいただきましょう!
「LE CAFE DE PARIS」の住所
2 Quai des Passagers, 14600 Honfleur, France
天気が良ければ、お店の前からこんな景色が見られます
オンフルールへのアクセス
車の場合
ノルマンディー地方の他の都市へ行くとき同様、高速道路A13に乗ってひたすら西を目指します。
そのままずっと進み続けるとドーヴィルへ行くため、その手前のBeuzevilleでル・アーヴルと同じ方向(A29)に入りましょう。
Google Mapより引用
その後、セーヌ川を渡る橋「La Rivière-Saint-Sauveur」の手前でオンフルール方面へ向かう出口が現れるので、間違えずに下りましょう。
Google Mapより引用
あとは、標識に従ってD580の一般道を西へ進めば、オンフルールに到着します。
公共交通機関の場合
公共交通機関を利用する場合、格安高速バス「FLIXBUS」が断然お得です!
オンフルールへは、パリ市内にある2か所のバス停(「Bercy Seine」か「Paris Pont de Levallois」)のいずれかを出発する直行便が出ています。
ちなみに、前者が始発なので、所要時間は約3時間、後者の所要時間は約2時間15分です。
最安値だと11.99ユーロで行くことができますから、購入できれば本当にお得な旅行ができますよ!
あとは、ノルマンディー地方へ行くならおなじみの電車&バスのルートです。
まずは、Saint-Lazare駅からノルマンディー地方へ向かう高速鉄道INTERCITÉSに乗って、終点のTrouville-Deauville駅で降ります(所要時間約1時間50分)。
その後、バスに乗り換え、「Honfleur-Normandie」に直行します(所要時間約30分)。