「日本とフランスの架け橋」カキ栽培がピンチ
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「海のミルク」と呼ばれる牡蠣(カキ)。
1年の中でも、厳しい寒さの中で収穫されるこの季節のカキは、最も濃厚でおいしさが詰まっているといわれます。

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フランスでも、ノルマンディー地方を中心にたくさんのカキが収穫され、街のビストロやブラッスリーでは氷の上においしそうな殻付きのカキが並ぶ光景が見られるようになります。
フランスのカキ収穫は、クリスマス前後の年末年始がピークになります。
この時期には、通常のスタッフに加えて、200人もの季節労働者を雇って、下記の収穫から出荷に向けた選別・包装まで行っています。
ただでさえ忙しいこの時期に、季節限定のスタッフを大量に必要とするこの仕事では、深刻な人手不足に陥っているのです。

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カキ養殖業は、相当な肉体労働。
日本でも「3K(きつい・汚い・危険)」と呼ばれるその労働条件は、フランス人から敬遠されがちです。
まして、その労働の厳しさと比してあまりにも少ない給与が、人手不足をますます深刻なものにしています。
「働き方」には強いこだわりを持ち、しんどい仕事が敬遠されがちなフランス人にとって、カキ養殖の仕事は近寄りがたいものになっているようです。

そこで期待されるのが、外国人労働力。
フランスでも、ポーランドを中心とした東ヨーロッパの労働力が必要とされています。
西欧諸国と比べてまだまだ給与水準の低い東欧諸国では、フランスやドイツへの出稼ぎ労働がかなり重要な資金源になっているのです。
これまでは、EUの協調やシェンゲン協定によってヨーロッパ諸国の移動や労働はかなりハードルが低かったのですが、近年のEUが協力体制にひずみが出始めているために東欧諸国の労働力がなかなか期待できない現状に陥っているのです。
この問題は、日本でも同じようなことが言えます。
深刻な人手不足で、外国人による労働力を欲する日本では、ただ外国人を雇い入れるのではなく、彼らの労働環境や生活環境まで整えていく必要が生じています。
本当の意味でのグローバル社会を実現するためには、自国だけでアイデアを出すのではなく、同じような課題を持つ国々が話し合って、いいアイデアを出し合うことが必要になりますよね。

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話は変わりますが、カキは日本とフランスとをつなぐ架け橋だというお話、ご存知ですか?
実は、フランスのカキは日本のカキであり、日本のカキはフランスのカキでもあるのです。
時代をさかのぼること1960年代、フランスやポルトガルの西岸ではカキ養殖が盛んでしたが、病気が蔓延し、カキがほぼ死滅する大被害に遭ったのです。
「このままではヨーロッパ西海岸でのカキ養殖が途絶えてしまう」という声は、遠く離れた日本に届きました。
そこで動いたのが、日本の中でも有数のカキ生産地、松島。
宮城県や東北大学の協力により、松島のカキがフランスの地に送られ、栽培される計画が進められたのです。
関係者の苦労の末、無事に松島のカキはフランスに根付き、再びカキ養殖の名産地になったのです。

この話には続きがあって、今度は2011年。
この年に日本で起こったことと言えば、3月11日の東日本大震災です。
このとき、カキの名産地である宮城県でも、津波によってカキ養殖床が流出するなどして、壊滅的な被害を受けたのです。
その時真っ先に行動したのがフランスでした。
社会貢献に尽力する企業等の協力を得て、松島からフランスに渡ったカキたちが再び松島に送られたのです。
その後、8年の時を経て、日本のカキ養殖も劇的な復活を遂げたのです。

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こんな素敵なお話のあるカキ。
まさに「縁結び」的な存在である海のミルクのお話を知っていると、いただくときの気持ちにも変化が出てきますよね。